「事務職が気になるけれど、HSPと事務職の相性はよいのだろうか」と気になっていませんか。
事務職として働いたわたしの経験上、HSPは事務職で十分働けると感じています。
なぜなら、持ち前の共感力や観察力、ささいなことに気づく力を活かせるからです。
この記事では事務職として数社経験したわたしが、事務職の仕事内容や力を発揮できる理由、消耗してしまう職場環境を紹介します。
最後までお読みいただき、自分に合った職場を選ぶための判断材料にしてください。
HSPは事務職に向いていない?いいえ、それはありません
HSPは事務職に向いていないと思う人もいるかもしれませんが、経験上そのように思う必要はないように感じます。
なぜなら、最初は慣れない業務ばかりで大変に思いますが、ある程度ひとりでまわせるようになってくると「自分の気質が発揮されるな」と思うシーンが多々あったからです。
今までの仕事を振り返ってみると、向いていない仕事というより、向いていないある一定の環境や時間があるのみでした。仕事自体がどうこうということではありません。
仕事はある程度慣れることに加え、慣れるまでの過程でHSPが持つ性質が役に立つのです。
例えば他の人が何か困っていたら、持ち前の共感力を活かして手を差し伸べられるでしょう。
細かいところが目につくため、他の人が作った資料に不備があることを、商談前に気づいて感謝されるシーンもあります。
わたしが伝えたいのは、せっかく事務職になりたいと思うのであれば、ぜひ挑戦してみてくださいということです。
やりたい仕事であれば、環境選びさえ間違わなければ、自分の力をよい方向に発揮させられると思っています。
事務職の仕事内容(わたしの例)とHSP
ここからは事務職の仕事内容を紹介します。
とあるサービス業の一例ですので、会社によって異なる点をご容赦ください。
- 電話対応(依頼受け・クレーム受け)
- メール対応(照会、取引先からの照会)
- 見積書・請求書作成
- 不備解消
- 他社員の書類チェック
- 他社員から依頼された書類作成
- 接客対応
- データ入力
- 議事録作成
- 資料整理
- 取引先への訪問(補助)
- 各種物品の取引先への配送準備
- 入金や振込み業務
事務というとパソコンに向き合っているイメージがあるかもしれませんが、顧客対応や職場の人とバリバリ関わっているのが現状です。
3つほど要素を掘り下げてみます。
電話対応
電話対応は事務職がよく任せられる業務のひとつです。
最初の頃は聞かれた内容に即答できず、上司に聞きながらたどたどしく回答するケースがあるでしょう。
しかし慣れてくるとよく聞かれる質問がわかってすぐに答えられたり、自分ですぐに答えないほうがよさそうな質問がわかってきたりするため、年数が経てばあまり問題ではなくなってくるように感じます。
それでもシーンとしたなかで電話するのは少し緊張するため、誰かがオフィスで会話していたり電話をかけていたりするときに、自分も電話をかけるときがあります。
他社員の書類チェック
事務職だと、営業社員が作成した書類のチェックを求められるときもあります。
もちろんすべて気を抜けないのですが、大きな数字が動くときには特に緊張が走るときです。
ちなみに、書類チェックはHSPに向いている業務だと感じています。
一項目ごと細かく合っているかを見るため、持ち前の「ささいなところに気づく力」がかなり活かされるからです。
何か作成ミスがあった際にやんわり伝えるとすごく感謝されるため、やりがいのある仕事だと感じます。
接客対応
事務職でも会社や配属先によっては、接客対応するときがあります。
来客対応は人によって好き嫌いが分かれるところであり、実際にわたしのまわりでも「接客はしたくない!」という事務の友人は多い印象です。
営業と事務がしっかり線引きされている会社もありますが、一人あたりの業務の幅が広かったり、営業がいなかったりするときに事務職も対応するイメージです。
個人的には「接客ほど自分の頑張りがダイレクトに返ってくる仕事はないよなぁ」と思っているため、接客は嫌いではありません。
ただ、人によっては自分のペースを崩されたくないという思いから、接客がまったくないほうがよいと思う可能性があるでしょう。
もし事務職を志望するなら、接客の有無は入社前に確認したおいたほうがよい要素です。
HSPが事務職で力を発揮できる理由
ここからは、HSPが事務職で力を発揮できる理由を紹介します。
観察能力があるから
事務職は日々、請求書や見積もりなどあらゆる書類を作成します。
こちらの作業ではHSPの観察能力が欠かせません。
例えば書類の小さなミスに気づいて提出前に修正したり、電話の声色からお客様の感情の変化を察知して適切な対応をしたりできるでしょう。
物事を注意深く見て感じとる能力があるからこそ、HSPは事務職に向いているのです。
フォローできるから
HSPは共感力が高い傾向があります。そのため人が困っていると、それに早く気づけてフォローできます。
例えばわたしの場合、オフィスで何か困っているような会話が聞こえてきたら解決策を伝えたり、検索するのを手伝ったりしていました。
まわりの人の感情を察知してしかるべき対応ができるため、HSPは事務職で十分力を発揮できると期待できます。
工夫すればシングルタスクに持ち込めるから
HSPはマルチタスクが苦手な傾向がありますが、シングルタスクであれば持ち前の洞察力や集中力を使って、タスクを着実にこなせます。
例えばたくさん仕事があっても、順にこなせるようにうまくリストを使ったり、スケジュールに落とし込んだりしていったん仕事を忘れておける環境をつくれるでしょう。
ツールを使って自分の得意を活かしながら仕事を進められるようにすると、持ち前の長所を発揮して仕事をこなせるでしょう。
事務職で消耗してしまうときと対処法
ここからは事務職で消耗してしまう場面と、その対処法を紹介します。
電話がひっきりなしに鳴ったとき
HSPは完璧主義的な性質を持っています。
そのため、電話がたくさん鳴ると「自分がとらなきゃ!」と思ってしまうケースがあるでしょう。
電話をとって案件を持ちすぎると、複数の案件を一気に進めなければならなくなります。
気持ちが焦ってしまうため、少しの間頭が真っ白になる可能性があるでしょう。
休み明けに一斉に電話が鳴ると、軽く絶望します……
「自分が出なきゃ」と思い、とにかく真っ先に出ていた頃は消耗しました。
現在はあまりに忙しいときは、「3回に1回出るようにする」と、割り切っています。
最初こそ罪悪感があるかもしれませんが、自分以外に対応できる人はいるものです。
「”完璧に”3回に1回出るようにする」というタスクにしてしまえば、その行動をすることは容易でしょう。
意外に手が空いている人が出てくれて、完結してくれるとわかりました。
仕事が集まってしまったとき
HSPはマルチタスクが苦手な傾向があり、仕事がたくさん手元にあると少しパニックになってしまいます。
例えば見積もりを作成しているときに電話や来客があったり、誰かに何かを一度にお願いされたりするときがあると、気持ちが焦ってしまいます。
各々のタスクを、とりあえず置いておける状態に整えるまでは「何かを漏らさないようにしなきゃ」と、気が気ではなくなってしまうでしょう。
マルチタスクになってしまったときは、それぞれをシングルタスクにもちこむことが大切です。
たくさん業務を抱えてしまったら、それぞれをいったん履歴や概要入力などキリのよいところまで仕上げ、優先順位の低い仕事はいったん忘れるようにしましょう。
ひとつの業務だけに集中する時間をつくれると仕事が進みやすくなり、焦らずにすむはずです。
とった電話がクレームだったとき
HSPは音に対して敏感な性質を持っています。また、誰かが怒っているような声を出していると、自分が怒られているような気持ちになってしまうでしょう。
クレームの電話をとった際に自分に対して怒っていないとわかっていても、怒っている相手の声色から心臓がバクバクしてしまうときがあります。
クレームの連絡がきた際のゴールは、お客様が何を求めているのかを丁寧に聞き、提案に納得していただくことです。
わたしの場合は、観察力・共感力を意識して発揮させています。声色やささいな言い回し、質問への回答からお客様が求めるものを特定するのです。
じっくり話をきいたうえで提案を繰り返していると、最終的には解決の方向に進めたり、心を開いていただけたりすると感じています。
関連記事:職場で気疲れするときの原因と心がスーッと軽くなる解消法6選
HSPのわたしが働き続けられた仕事・環境
ここからは、HSP気質を持つわたしが働き続けられた仕事や環境を紹介します。
ある程度ひとりでできる仕事
何かに集中しているときに他の要素が入ってくると、マルチタスクのように感じられて脳がぐったりしてしまうときがあるでしょう。
かたや、ある程度ひとりで仕事が進められると、集中できる時間が長くなるため、脳の疲れが軽減されて仕事をしやすくなると感じています。
自分のやりたいように仕事の流れを組み立てられるため、気が重くならずに仕事に打ち込めます。
物と向き合う要素が多い仕事
アルバイト経験から感じたことですが、物と向き合う仕事は持ち前の感受性が発揮され、向いていると感じています。
例えばわたしの場合、原稿と向き合うWebライターの仕事は、シングルタスクでこだわれるため、向いていると感じます。
事務職でも黙々と資料を作れる日は「じっくり集中できる!」と、楽しみな日でした。
人事評価やマニュアルをじっくり作るのが好きでした!
人と向き合う仕事は刺激が強いぶん、よいほうに振れればとてもやりがいはあります。しかし、刺激がありすぎればダイレクトに心の健康に影響するときもあるでしょう。
物と向き合う仕事は刺激の量が抑えられているため、負担がかかりすぎず取り組みやすいと感じます。
仕事する空間にいる人が多すぎない
視覚や聴覚が敏感なHSP。
人が多いと、話し声や扱う機械の音、業者の出入りやパソコンの画面など、視覚から入る情報もそれだけ多くなってしまいます。
そのような事態を避けるため、まわりに人が多すぎない環境で働くのがよいでしょう。
わたしの場合は聴覚が特に敏感なタイプであるため、大人数でざわざわしている空間は、緊張が増して疲れるスピードが速くなってしまったと感じます。
テレワークが導入されてオフィスに人が少なくなったのは最高です!
独立した店舗で数人が勤務している、もしくはオフィス内の人数が10〜20人程度に抑えられているなど人数が多すぎないほうが、刺激が少なくて心地よさを感じます。
苦手な環境
ここからは複数回転職したわたしが感じた、働くうえで苦手な環境を紹介します
フリーの時間が多い環境
HSPは「これを言ったら相手はどう思うかな」と、人の気持ちをあれこれ考えすぎてしまう傾向があります。
そのため、わたしは同じ空間に人がいて、かつ、フリーの時間が多いときは少し苦手意識を持っていました。
自分が話した内容を人に言われてしまったケースもあり、自分のことを職場の人に話さなければならない雰囲気も苦手です……
雑談の時間が多いとあらゆる人に気をつかってしまうため、疲れてしまう傾向にあります(友人と雑談するときとはまた違う)。
書いていて気がついたのですが、話していると楽しい!もう少し話していたい!と思う場面もありました。違いは何か考えたところ「心理的安全性」でした。
相手が自分のことを好いてくれている、認められているとわかっていると、「楽しい」のほうに触れるのかなと思います。
初対面の人が多い環境
HSPは細かいことが見えやすい性質を持っています。
店舗合同で頻繁に集まらなければならなかったり、チームのメンバーがよく入れ替わる環境にいたりすると「あの人は今こう考えているかな?」「こういうところを気になってしまうかな?」と考えてしまい、仕事に集中しきれないときがありました。
単発の派遣の仕事でまわりの人がみんな知らない人のときも、ドキドキします。
なかには気が合う人がいたり刺激をいただいて学びにつながったりと、ありがたいこともあります。
その一方で初対面の人が多いと疲れるペースが一気に加速してしまい、気が休まらないのです。
攻撃性の高い人がいる環境
HSPはなかなか自分のことを主張できない性質を持っています。
そのため、自己主張が強い人に目をつけられてしまうケースもあるでしょう。
思い当たることがあります……
自己主張があまり得意ではないHSPは、攻撃性の高い人と同じ空間にいるとターゲットになってしまい、消耗してしまうのです。
わたしは、このままではいかん!と、以前よりも意識的に主張するようになりました。
「どうやって主張したらいいのかわからない」と思う方には、平木 典子さんの『アサーション入門』をおすすめします。
他者を尊重しながら、自分の主張をするための思考や行動を学べます。
事務職に向いていないと思ったらおすすめしたい仕事
ここからはそれでももし事務職に向いていないと思ってしまった方に向けて、おすすめしたい仕事を紹介します。
Webライター
シングルタスクでできるうえ、静かな環境で黙々と作業できるのがWebライターの仕事です。
ささいなことにこだわってしまう自分に悩むときもあるかもしれませんが、こんなにささいなことにこだわり放題な仕事はないと思っています。
読者のニーズを考える際に、持ち前の「気持ちを読む力」が活きるように感じます。
記事を書く際は顕在ニーズと潜在ニーズを考える必要があります。HSPは「潜在ニーズを汲む」のに長けていると感じるため、向いていると思っています!
日頃からいろんなことを考えているもんね!
体をいたわる仕事(鍼灸師、マッサージ師など)
これは日頃利用していて「こんな仕事いいなぁ」とわたしが個人的に感じているものですが、鍼灸師やマッサージ師など、人の体をケアする仕事に適性があるのではと思っています。
なぜなら、人がつらいと思っている気持ちを察するのが得意なうえ、働く環境が静かなことが多いからです。
オルゴールがなっていたり、シーンとしていたりして癒やされます♪
複数の人というよりも、1対1で話せる機会がほとんどで、じっくり会話できると考えます。
ただ飛び込みのお客さんばかり対応しなければならない院は、やりがいがある一方で大変だと思ってしまうときもあるでしょう。そのため、院の雰囲気を下見して選ぶ必要があるかもしれません。
図書館司書
図書館司書は静かな環境で働けるうえ、働く人もおだやかな人が多いように感じます。
電子書籍もある時代で、あえて紙の本のデザインを見たり、重みを感じたりして、とても癒やされる要素がある仕事です。
本が破損していたときに弁償を求めたり、返却期限が過ぎていた際に督促の連絡をしたりといった業務はあるものの、比較的静かな環境で働けます。
学生の頃よく図書館で充電していたので、個人的に憧れの仕事でもあります!
その他にもおすすめの仕事を知りたい方は、以下の記事をお読みください。
関連記事:HSP気質の人はフルタイム勤務がきつい?3つの理由と向いてる仕事を解説
また、転職を考えている方限定になりますが、転職エージェントの初回面談時に強みを教えてくれるケースもあります。
わたしは「分析力」と「顧客志向」があると教えていただきました。
初回面談の機会があれば、自分に対してキャリアアドバイザーが感じた強みを教えてもらうのもよいでしょう。
HSPの性質が事務職で役立つ場面はある!やりたいかやりたくないかで決めるのが吉
事務職は電話対応が多かったり、ときにマルチタスクになったりと、HSPにとって向いているのかと心配になる仕事かもしれません。
しかし、わたしの経験から「自分の持っている力を把握して、意識的に発動させる」と、得意だと思うフィールドに持ち込めるため、力を発揮しやすいと感じます。
HSPはどちらかといえば少数であるため、人よりも「できていないかも」「向いていないのかも」と思ってしまうときもあるでしょう。
苦手な場面では「どうすればこのタスクのなかで、HSP気質をプラスに働かせられるのか」と考える視点を持ち、実践していきましょう。